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苺篭 その2


未だにデフレから脱却できず、日銀の掲げる2%の物価上昇率の目標にもほど遠いと報道されているのに、日本の物価が上昇してるって?
考えてみてほしい。現政権になってからあなたの周りで値下がりしたものがあるだろうか?まるで値上げの免罪符を得たように食品もサービスも、質も量も減って値段だけは上がっている。中身が見えないように印刷だらけになった包装の中でお菓子がしれっと減量しているではないか?人々がなぜそこに疑問をもたないのか本当に不思議だ。若い人ならともかく、バブルを知っている世代の人たちは景気が良いときの値段の上がり方はこうじゃなかったと思いませんか?(笑)
消費者物価指数というのは特定の品目を抽出して価格の推移をはかっているそうだ。面白い。いったいどんな品目の価格推移を計測しているのか調べてみよう。


日本政府は景気は回復したと言っている。しかし同時にデフレからは脱却できていないという。あれ?つじつまがあっていない。デフレのままで景気が回復したのなら、インフレもデフレもはなから景気には関係なかったのではないか?
2%の物価上昇率達成なんていう全く根拠のない目標を掲げてしまったがために、何度も何度も達成時期の延期を迫られる日銀の総裁を気の毒に思ったこともあった。でもあるときふと思った。「これは確信犯かもしれない」
政府は価格があがらない品目を抽出して、永遠に2%に達しないようにしているのかも。そうすれば物価が上がらないのは消費者のデフレマインドが払拭されていないからだ、と言い訳ができる。
目標は現日銀総裁の任期中には達成できない。すなわち、自分の任期中には一番面倒な緩和の出口戦略を行わなくて済む。日銀は国債と日経株を買い支えてなんとか日本経済の体裁をつくろっているけど、いつまでこんなことを続けるのだろう。
いっそのこと日銀の総裁の続投でどうだ。独立性もなくなった日銀と政府と財界で拡げまくった大風呂敷をどうやって畳むのか見てみたい気がする。


ラトビアの苺の話からよくもまあ、こんな大きな話になったものだ。
ラトビアの中央市場で僕は苺をしこたま買って帰った。形は不ぞろいだったけど美味しかったよ。安くて美味い食べ物があれば自然と財布も緩む、ついついあれもこれもと買ってしまう。苺の値段を無理矢理上げることが景気回復に繋がるという理論がいかにバカげているかわかるだろう。
そうそう、僕の好きな苺大福だけはラトビアにはなかった。



2018年3月記



今日の一枚
” 苺篭 ” ラトビア・リガ 2016年




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