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健康とは何ぞや その2


結果は言うに及ばず、僕の体調は日本を離れれば離れるほど良くなっていった。新しい刺激を受けること、現地の人々と触れ合うこと、写真を撮ることが自分にとっては最良の精神安定剤なのだ。


さらに、僕の健康に対する考えを改めさせたのはサモアの人々の体つきだ。とにかくみんなデカい、いや、率直に言えば子供から大人まで「まるまると肥えている」。日本語には「恰幅(かっぷく)が良い」というすばらしい言葉があるが、まさに男も女も恰幅が良い。肥えている人がこれほどかっこよく見える場所を他に知らない。デカいサモア人に取り囲まれたらさぞかし威圧感を感じるだろうなと思っていたが、彼らの体型にはむしろ「愛嬌」さえ感じた。


で、何が言いたいのかというと(笑)・・・健康診断で下腹にメジャー回されて、採血されて、国が定める基準値内に収めることを目標とする健康促進にいったいどれほどの正当性があるのかと僕はサモアで考えてしまった。そして、自由奔放に肥えているサモアの人々を見て少しだけ気が楽になった。


楽になったらお腹が空いてきた。村の道を女子高校生がアイスを食べながら下校している。「そのアイスどこで売ってるでごじゃるか?」「学校の前の売店よ」ほうほう、行ってみよう。「ごめんなさい。子供たちが来てもうぜんぶ売れちゃったの」と店のおばさん。もう、僕の頭の中はもうアイスクリームで一杯だ。町に帰って何より先にアイスクリーム屋に飛び込んだ。もう、何も気にせず食っちゃうぞ。タロイモ、鰹、BBQそして・・・タロイモ。まずい、葉物野菜が全然足りてないではないか・・・健康病再発。


ここまで書いてくるとなんだかサモアの人は食べてばかりのようだがけっこう運動量が多い。僕たち日本人よりよほど歩いているし、アピア湾を囲む防波堤の上はウォーキングやジョギングのコースになっていて夕方は特に賑わっている。ダイエットをするという世界的な価値観というのは、当然サモアの特に若者や女性たちの間には浸透している。でも、細身の人が溢れるサモアなんて・・・
そして更なる情報が「サモアの人たちの体が大きいのは孤島で生きてゆくために栄養が蓄えられるような遺伝子を持つためである」なんだよぉぉ、散々食べてしまった後に・・・



2019年5月記


今日の一枚
” ポートレイト ” サモア・シウム 2019年




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