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深さがわからん その2


ここはアジアなのか西洋なのか?という問いは現地人に聞いてみるのが一番良い。たずねてみると彼らにとって東アジアは遠い国。それでは、欧州からの旅行者に対しては親近感を持つのか?といえばそれも違うようだ。やはり遠い西洋の国から来た旅行者らしい。結局、ここは遥か昔から東から西から人が行き交う中間点なのだ。
別の視点から見れば。ウズベキスタンはアジアからの旅行者も西洋からの旅行者も、どちらもアウェイ感を味わえる場所かもしれない。


ウズベキスタンの通貨について。旅行者が使うホテルや特急列車の運賃などは米ドル建で、先の乗り合いタクシーのごとく泥のように安いわけではない。その他の場面では現地通貨スムでもドルでもOK。しかし、ご察しの通りスムはドルに対して日に日に下落している。じゃあドルの方が有利かといえば小額の支払いには大きすぎる。
問題は僕の手元にある100枚以上のスムの札束である。宿泊がドル払いだと思ってなかったので両替しすぎた(泣)


ところが僕が帰国した直後にホテルがスム払いに統一されたらしい。ホテルがドル払いになったのが2014年のこと、ドル払いが禁止されたのが2017年、とにかくルールがコロコロ変わる。
厄介なのは変わらない規則と頻繁に変更される規則が混在すること。例えば、旅行者がホテルで発行してもらうレギストラーツィヤ(滞在登録証)は滞在した日数分だけきちんとあるか出国時に厳しくチェックされると聞いていた。民宿にも泊まれるが、その場合、登録は地元の警察に出頭しなければならない。手間が掛かりそうなので、引く手数多の民宿を泣く泣く断る。ところが、来るときに通ったカザフスタン国境での出国審査はいたって簡単。一生懸命集めた滞在登録証には全く目を通さない。宿のスタンプが押された僕のレギストラーツィヤは、単なる御朱印帳と化したのであった。それでも形骸化した滞在登録の制度は依然として続いている。


国境で6時間も待たされると書いてあったウズベキスタンからカザフスタンへの国際列車も今や待ち時間無し。ビジネスホテルのような超モダンな寝台列車だった。何も知らない自分は6時間停車を避けるためにわざわざカザフスタン側に渡って列車を待ったが全く時間の無駄だった。
ちなみに、東京の領事館を往復して取ったビザも日本人は短期滞在に限り免除に変わったそうだ。


まあ、これは著しく成長を遂げるウズベキスタンの「元気印」なのかもしれない。深さなんか知る必要ないのだ、元気よくザブーンと飛び込め!あとは水面に身を委ねるのみってね。



2018年10月記



今日の一枚
” ポートレイト ” ウズベキスタン・ブハラ 2017年




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