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圧倒的に男性が目立たない国


以前、僕は男性中心の社会について書いたことがある。まだまだ世界には「男性の社会的な地位が女性よりも上」という常識がまかり通っている場所が多い。ところが世界は広い。まったくそれとは逆の場所もある。つまり、男性よりも女性の方が社会の表に立っている、目立っている国だ。ウクライナはまさにそんな国だった。


ウクライナでの滞在を振り返ってみると圧倒的に女性に接した機会のほうが多かったような気がする。確かにウクライナの女性は綺麗だが、それはおそらく僕がデレっと女性ばかり見ていて強く印象に残ったというのではなく、実際に街で働く人々は女性が多かったということだ。
いわゆるサービス業というものにはほとんど女性が従事していた。バスやトラム、そして地下鉄までも運転手は女性。駅の切符売り場も女性、ホテルのフロントもすべて女性。ファストフードの店員もレストランのウェイトレスも女性・・・と、「はて?一方男性はどんな職業の人を見かけただろうか?」と思い出す方がはるかに難しい。タクシーやマシュルーツカと呼ばれる小型バスの運転手、工事現場、警備員、・・・このぐらいだろうか。あとは、ビール瓶片手にタバコを咥えて街を歩いている記憶しかないのである。


「ブラジルといえばサンバ・サッカー・女性。ここウクライナは酒・タバコ・女性なのさ。奇しくも最後の『女性』だけは共通してるんだよね」ある人はそう言って笑った。しかし、ウクライナの方の「女性」は単なる性的な対象だけではなく、社会を動かしているのもまた女性だという意味だ。もし今突然、ウクライナから女性がいなくなったとしたら、おそらくこの国の社会は全く機能しなくなってしまうのではなかろうか?思い出した。そういえばウクライナは首相も女性だった。
男性には厳しそうな社会だ。でも、女性が美しいからいいのか(笑)結局、こうして男はいつも裏方にまわってしまうのだ。

2009年11月記



今日の一枚
”市電の運転手 ” ウクライナ・ドネツク 2009年




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